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恋愛じゃないけど恋愛みたいな「大家さんと僕 これから」矢部太郎の書評・あらすじ・感想

書評

大家さんが骨折したことをきっかけに、矢部さんと大家さんとの幸せな日常に、少しずつ変化が訪れます。大家さんとの毎日をこれまで以上に大切にする矢部さんの気持ちが伝わってくる心温まる完結編です。

矢部太郎さんの紹介

矢部さんは、売れない芸人が、稼ぎ時の大晦日の仕事を断り、大家さんとお正月を過ごします。手塚治虫文化賞のトロフィー贈呈式の時も、2次会に出ず、大家さんのお見舞いに行きます。

相変わらず、大家さんラブ ♡ です。

矢部さん、ちょっとそれは、ヤベ~よ。(・´з`・)

というのは冗談ですが。(笑)

矢部さんは「大家さんと僕 これから」を、「物事は思った通りにならないからこそ尊い」というテーマで書かれたそうです。矢部さんの願いは「大家さんといつまでも幸せに暮らす」だったんですが、それは叶わぬ願いとなりました。

ですが、残り少ない大家さんとの生活を、与えれられている時間、幸せを十分に味わおうとする矢部さんの態度に、私は共感出来ました。

大家さんの願いは「元気になりたい」だったのですが、その願いは身近な人には伝えられないまま、亡くなりました。自分が与えられている当たり前の幸せ。健康であるとか、家族がいるとかに感謝の気持ちが湧いてきました。

ここでは、血のつながらない他人との間に育まれた、ひとつの「愛」のカタチをご紹介したいと思います。

「大家さんと僕 これから」を読もうと思ったきっかけ

1作目の「大家さんと僕」が面白かったから、最後まで一通り3巻読み通したかった。

(3冊目)

大家さんと僕(1冊目)

「大家さんと僕」と僕(番外編本)(2冊目)

↓1作目「大家さんと僕」の書評

↓2作目「大家さんと僕と僕」の書評

「大家さんと僕 これから」のあらすじ

僕の大家さん
ニーハオ
愉快なご近所さん
ジェラシー
美容室と詐欺
新宿中村屋
以下省略

あらすじ

矢部さんは、大家さんと新宿中村屋のカレーを食べに行ったり、シャンソンのコンサートに行ったり、平凡だけど幸せな毎日を過ごしていました。

ですが突然、大家さんは骨折して入院することになり…。2度目の骨折のあたりから、大家さんの身体は、少しずつ悪くなっていきます。

「大家さんと僕 これから」の感想

3作目の「大家さんと僕 これから」は、大家さんが亡くなったこともあり、少し幻想的で切ないシーンが多いです。

でも、悲しい感じではなく、淡々と描かれているので、夢か現実か、境目があいまいな、矢部さん特有の世界観にあふれています。

印象的だったシーンをご紹介します。

愉快なご近所さん

矢部さんたちのお住いは、新宿なのに、夜になると虫の声や、雨が降るとカエルの鳴き声がします。夜寝ていて、虫の声を聞いていて、1階に寝ている大家さんの上に2階で寝ている矢部さん。それは、家の壁がなくって、空中に浮いていて、二人で会話しています。

現実は1階と2階に住んでいるので、天井と床とで2人は阻まれているはずですが、漫画の世界では、まるで一つの部屋で、二人で会話しているかのような親密な世界が描かれています。矢部さんが心の中で思っていることを、大家さんが読み取って、会話している、二人が虫の声に対して共感している幻想的な場面です。

矢部太郎映画祭

矢部さんの部屋で、友人5人で夜遅くに大声で盛り上がって映画を見ていたら、大家さんが差し入れの中華まんを持ってきて、その後、食後のコーヒーまで持ってきてくれる。大家さんはもう、寝ている時刻なのに、次の日謝りにいったら、「全然聞こえなかった」と言い、「矢部さんに友達がいて嬉しかった」と言ってくれる。お母さんみたいな大家さん。

大家さんは人が大好きで、お友達が沢山います。「矢部さんに友達がいて嬉しかった」という言葉は、普段思っていなければとっさに出ない言葉。大家さんなりに、矢部さんのことを大切に思っているということが伝わるシーンで、私は大好きです。

歌舞伎町のタヌキ

大家さんが、骨折して最初の入院の時に着てたパジャマは、1作目「大家さんと僕」で、矢部さんが大家さんにプレゼントした花柄のパジャマです。1作目では、大家さんは、「もったいなくて着れないわ。」とおっしゃってて、次に着るのは三途の川を渡る時というオチだったパジャマ。

大家さんは、矢部さんからもらったプレゼントを、いつも使わずに棚に飾ってばかりだったので、今まで矢部さんは少し寂しく感じていました。この時、大家さん亡くなる前に、矢部さんのパジャマ着てくれて、矢部さんの気持ち受け取ってくれてよかったな、と私は思いました。

好きなシーン

私は、田舎が好きなので、雨が降って、カエルがピョコピョコ出てくるシーンが好きで、カエルは「愉快なご近所さん」「リハビリ」「すべらないでね」「ひとりきりの草むしり」の4つのお話に出てきます。

これ、話がつながってます。

家の前の道路が、舗装されてしまい、いなくなってしまったと思っていたカエルが、今も変わらず飛んでいるのを見て、矢部さんはホッとします。

それは、これからもずっと変わって欲しくないから。この先もずっと大家さんと一緒に暮らしたいから。カエルを見て、「これからも変わらない」と安心したいからなんです。

幻想的な矢部さんの世界

結婚

大家さんが若いころ、シャガールの絵を鑑賞した後、旦那さんにプロポーズされて、そこから、シャガールの絵に二人がなってしまうところ。

月夜の夜空に、二人が抱き合って浮かんでいる。このシーンはとてもロマンティックで素敵です。

現実の世界から、夢か現実か、分からない幻想的な世界に、場面がパッと切り替わります。これが、矢部さんの漫画の特徴のひとつです。

手塚治虫文化賞のトロフィー贈呈式の挨拶の舞台で、いないはずの大家さんが、そばにいて、矢部さんに話しかけてくるシーン。でも、現実の大家さんは骨折して2度目の入院。

矢部さんとお茶したり、おすそ分けしたり、一緒にお食事に行ったりする何気ない普段の生活の中で、大家さんの矢部さんに対する温かい気持ちは、少しずつ矢部さんの中に伝わっていきました。

大家さんは矢部さんにとって、いつもそばにいて、自分の最大の理解者である母親のような存在だったんだろうな、私は思いました。

矢部さん、素敵な大家さんとの交流をシェアしてくださってありがとうございました。

↓マリィ選曲

「大家さんと僕 これから」テーマ曲(オルゴール)

教えて!マリィさん「大家さんと僕」編

マリィが、「大家さんと僕」に関する、ネットにころがっている質問に、頼まれもしないのに勝手に答えたいと思います。(´・ω・)

ネタバレ含みます。

質問1

大家さんが子供の頃、「綿あめを親に食べさせてもらえなかった。」というくだりがありますが、昔はなぜ、綿あめがダメなんですか?虫歯になるからですか?

マリィの回答

虫歯になるからという理由もありますが、戦後の昔は、屋台の食べ物が衛生的ではなかったので、親は子供に食べさせたくなかったんだと思います。

「大家さんと僕」の本の中で、大家さんが「疫痢になるからってお祭りの食べ物は食べさせてもらえなかった」と書いてありますよ。

質問2

大家さんはいくつなんですか?

マリィの回答

大家さんは、終戦の年が17歳だったとあります。終戦は1945年の8月15日なので、今年生きていたとすれば、大家さんは、91歳になります。

質問3

矢部さんは、今もあの家に住んでいるんですか?

マリィの回答

いいえ、今はもう住んでいません。「大家さんと僕これから」で、退去依頼を大家さんから受けています。

質問4

「大家さんと僕」は映画化されますか?

マリィの回答

2018年6月8日のexciteニュースで、映画化が検討されていたとの記事がありますが、最近は、映画化の話は出ていないようです。

質問5

「大家さんと僕」の本の中で「このあたりでしたら、皇太子さまがおうまれになったときのサイレンお聞きになったでしょうね」というシーンがありますが、昭和天皇に皇太子が生まれた時なのか、平成天皇に皇太子が生まれた時なのかどちらですか?

マリィの回答

大家さんは1928年生まれだと思うので、平成天皇が生まれた年の1933年は、大家さんは5歳です。

「大家さんと僕」の本の中で、小堺一機さんの祖母が、住んでいたあたりの話に言及されているので、お年を召した方にしかわからない内容だと思われます。

新井恵美子さんのエッセイ「夜明けのサイレン」に、昭和天皇に皇太子さまがお生まれになったときのことが書かれているそうです。

答えは、平成天皇(上皇明仁さま)が生まれた時だと思います。

最後に

矢部さんは、今後、元カラテカ相方の入江君のことを漫画に描きたいと思っているそうです。本当に実現するかどうかは分かりませんが、出版されたら、読んでみたいですね。

大家さんと僕(1冊目)

「大家さんと僕」と僕(番外編本)(2冊目)

大家さんと僕 これから(3冊目)

この記事を書いた人
はづき

化粧品成分について、とことん調べるのが好きです。

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