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「ルパンの娘(原作)」横関大の書評・あらすじ・感想

書評

深田恭子さん主演のフジテレビドラマ「ルパンの娘」の原作。主人公の華は泥棒一族。恋人の和馬は警察一家。結ばれないはずの二人が、ある事件をきっかけに、見えないキューピットに導かれて、ハッピーエンドに至るまでのミステリー。

横関大さんの紹介

横関大さんは、デビュー作品の「再会」で、第56回江戸川乱歩賞した小説家です。テレビドラマ化は、デビュー作品の「再会」に続く2回目です。

ルパンの娘はやはり、キャラが面白いのが人気の理由のようです。

ルパンの娘の続編

ルパンの娘は2019年7月に「ルパンの帰還」という題名で、続編が刊行されています。さらに、2019年9月には、3作目の「ホームズの娘」が刊行予定となっています。

「ルパンの帰還」では、華と和馬の間に子供が生まれ、和馬には美人探偵の「北条美雲」という部下が出来ます。「北条美雲」は3作目の主人公となるようです。この3つの作品はつながっていて(シークエンス物)3作目が刊行されるまで、2作目のオチは分からないという…。読みだすと止まらなくなってしまいそうです。

横関大さんの本

ルパンの娘 (講談社文庫)

ルパンの帰還 (講談社文庫)

ホームズの娘 (講談社文庫)

「ルパンの娘(原作)」を読もうと思ったきっかけ

フジテレビの「ルパンの娘」実は私、ドラマ見てないのですが、面白そうだったので原作を読んでみました。

「ルパンの娘(原作)」のあらすじ

第1章 刑事と結婚する方法
第2章 刑事は泥棒がお好き
第3章 招かれざる泥棒
第4章 泥棒より愛を込めて

主な登場人物

主人公

三雲華…三雲家の長女。図書館で派遣社員として働いている。
桜庭和馬…華の交際相手。警視庁捜査一課の刑事。

泥棒一家

三雲尊…華の父親。美術品専門の泥棒。
三雲悦子…華の母親。宝飾品専門の泥棒。
三雲渉…華の兄。ハッカー。
三雲巌…華の祖父。伝説のスリ師。
三雲マツ…華の祖母。鍵師。

警察一家

桜庭典和…和馬の父親。警視庁警備局勤務。
桜庭美佐子…和馬の母親。鑑識課の非常勤職員。
桜庭香…和馬の妹。杉並警察署の交通課勤務。
桜庭和一…和馬の祖父。元警視庁捜査一課の課長。
桜庭伸枝…和馬の祖母。元警察犬訓練士。額に大きな傷がある。
ドン…桜庭家の飼い犬。元警察犬。引退して桜庭家に引き取られた。

 その他登場人物

巻栄一…和馬の上司
松永…和馬のチームの班長

立嶋雅夫…荒川の河川敷で殺害されたホームレス。
小森博光…20年前に立嶋と一緒に新聞店で働いていた。
上原美津代…20年前に立嶋と一緒に新聞店で働いていた。記憶力が良い。

西脇早智子…NPO法人ひまわり従業員。ホームレスに炊き出しをしている。
中藤恒雄…NPO法人ひまわり代表。

近藤…スリ師。華にスリの現場を見られた。
松田…香の初恋相手
橋元エミリ…和馬の結婚相手

あらすじ

物語は華と和馬が退社後に、和馬の両親に会いに行くところから始まります。二人は一年半前に図書館で出会いました。和馬は華が泥棒一家であることは知らず、華は和馬が公務員であることしか知らされていませんでしたが、この面会で、華は桜庭家が警察一家ということを知ります。和馬や和馬の家族はまだ、華の正体を知りません。

華を自宅に送り届けた後、和馬に「男性の他殺体が発見された」との上司からの電話がきます。被害者は「立嶋雅夫」という窃盗の前科があるホームレスでした。立嶋雅夫は顔面を強打されていて、誰だか判別不可能です。

一方、三雲家では朝のニュースを見て、渉が「祖父が死んだ」と大騒ぎしていました。実は渉が、祖父である巌からの依頼で、2か月前に警視庁のデータベースに侵入し、立嶋雅夫のデータを巌の顔写真と指紋にすり替えたとのこと。

和馬は、周辺への聞き込み調査で、立嶋雅夫が出所後、新聞店で働いていて、この二年ほど前からホームレスになっていることを知ります。さらに、ホームレスに炊き出しを行っているNPO法人の中藤から、警視庁のデータベースに登録されている人物と、実際の立嶋雅夫とは別人であることを告げられます。

いったい立嶋雅夫という人物は何者なのか?三雲巌は生存しているのか?殺されたとしたら何故誰に何の目的で殺されたのか?なぜ、巌は孫の渉に警視庁のデータベースを書き換えるように依頼したのか?なぞは深まります。

「ルパンの娘」小説とドラマの比較

キャラ設定とおおまかなストーリーは原作と同じですが、ドラマと原作では、かなりいろいろなところが違うみたいです。「桜庭伸枝」は、原作では生きていますが、ドラマでは他界しているという設定になっています。和馬の妹である「桜庭香」は原作では独身ですが、ドラマでは既婚者となっています。円城寺輝は、原作には出てきません。

原作では、桜庭家は初対面で華のことを気に入り、両家は二人の結婚を強引に進めますし、お互いの素性が知れるまでは、三雲家、桜庭家共に仲が良いですが、ドラマでは少し違っています。ドラマでは、和馬は警視庁捜査三課所属ですが、原作では警視庁捜査一課の刑事となっています。

ドラマでは、たくさんの事件が起こりますが、原作では事件は、尊と悦子の「宝飾店強盗横取り事件」と三雲家による「和馬の結婚式ハイジャック事件」くらいで、後は過去の回想や、立嶋雅夫殺人周辺の考察が主だと思います。

宝飾店強盗横取り事件

和馬と華が婚約指輪を見に行った宝飾店に、中国系の窃盗団が強盗に入る計画を立てているとの情報を手に入れた三雲夫妻は、窃盗団から横取りする計画を立てます。二人は見事宝石をゲットしますが、和馬は悦子がはめている指輪にどこか見覚えがあり、それは、華と二人で婚約指輪を見ていた時に、店員から見せてもらった指輪だったことに気付きます。

 和馬の結婚式ハイジャック事件

華と和馬が別れて1年程経過し、和馬は見合い相手の橋元エミリと結婚します。それを知った兄の渉は、結婚式当日にリムジンで和馬を誘拐します。そこからドタバタがあってですね、クライマックス、事件の解決へと突入します。

「ルパンの娘(原作)」感想

原作では、華はあまり感情を見せないので、本当に和馬のことが好きなのかな?と思いました。和馬の方が華にお熱で熱心な感じで、華はメールでも態度でもそっけない感じがします。

恋敵のエミリにもあまり、動じてない。結婚もあっさり諦めるし、原作の華は、和馬に気があるのかないのか、分からないところが男性から見て、魅力的に映るのかも知れないと思いました。(原作者が男性なのでそう思った。)

ドラマ見てないんで、ネットでドラマネタバレの記事見て書いてますが、私は、ドラマより、原作の方が面白いと思いました。キャラ設定がとても魅力的で、そのせいでストーリーが面白いです。特に三雲家がいいです。瞬時にウソをつく頭の良いところとか、泥棒なのに超セレブな生活しているところとか楽しいです。

面白かったシーン

盗ばざるもの食うべからず

三雲家の夕食では、盗みの訓練の場として機能しており、おかずは、相手が気付かなければ、誰の食事であっても盗んでもOKというルールになっていて、ボヤっとしていると食いっぱぐれるという。

小学校低学年の頃、兄の渉は、すばしこい妹の華にしょっちゅうおかずを盗まれていた。(でも、渉は妹思い。)

切ないシーン

和馬にシッポを捕まれて、三雲家は全員解散となり、尊が用意した偽造免許を持って華たちは、それぞれ別々の人生へと歩き出します。

マツ名言

華の祖母のマツは華から見て、家族の中で唯一自分と同じ常識人だと思える人物で時折、ジーンとくることを言います。

「華、元気で暮らすんだよ。いつかきっと、みんなで暮らせる日が来るはずだから。」247ページ

「華、自分の胸に手を当てて、よく考えてごらん。あんたが幸せになれるんだったら、私はどんな鍵でも開けてあげるよ」273ページ

原作はハッピーエンドです。三雲家も桜庭家もハッピーです。ミステリーの解読は、私には複雑すぎて、よくわかりませんでした。可愛らしいオチです。女性向けのミステリー小説です。

ルパンの娘 (講談社文庫)

ルパンの帰還 (講談社文庫)

ホームズの娘 (講談社文庫)

 

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はづき

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